平成2年に院長としてこの病院を継承してから30年が経過しました。
外科・内科を問わず消化器科はもとより呼吸器科・循環器科など幅広く診療を行なってまいりました。医療の進歩と共に医療を取り巻く環境も日々変化し、高齢化社会となった今は介護の必要性・重要性も叫ばれ、昭和の時代と違い医療形態が大きく変わりました。

特に様々な疾病を抱える高齢患者様に対する医療のあり方は十分に検討する必要があります。
医療法人慈厚会は病院以外にも介護施設を併設しています。高齢者医療ひいては施設利用者の方々を診る機会が増えたことにより、これからの病院は何が必要かを強く感じるようになりました。

人は必ず老いていきます。
人生はただ長生きをすることが目的ではなく、むしろ元気に健康でいられる時間を多くもつことが大事ではないかと思います。
そこで当院ではこれまでは非常勤で扱ってきた整形外科領域を常勤体制で新設・標榜することにしました。もちろん骨折など手術を要するものにも十分に対応しますし、訪問を含めたリハビリテーションを強化していきます。
そして数年前よりすでに始めている事ではありますが外来通院が不可能で在宅療養をされている患者様には積極的に訪問診療、訪問看護をいたします。

また緩和ケア内科を設けましたので残念ながら治療の尽きた癌終末期の患者様への緩和ケアなども更に充実させていきます。私自身は消化器外科が専門なので今後もその専門性を活かした医療は継続するつもりです。
これにより多くの、そしてひとりひとりの患者様に対しより幅広い医療が提供できる病院体制を目指します。

当院は総合病院ではありませんので脳神経科、心臓血管外科など、更には高度専門医療についてはそれができる施設、専門医と連携をもって治療にあたります。より新しい専門知識、医療技術を取り入れながら、健診(検診)、人間ドックなど予防医学にも積極的に努め、これからも現状できる限りのことを行なうことにより地域皆様のために一貫した医療、介護のお手伝いができればと考えています。

令和2年4月
医療法人慈厚会理事長・野上病院院長
野上 厚